高北謙一郎の「物語の種」

読み物としてお楽しみいただけるブログを目指して日々更新中。

ジャズフルート

 

オパス・デ・ファンク

オパス・デ・ファンク

 

 

オーパス・デ・ファンク

オーパス・デ・ファンク

 

 

この前の土曜日、友人のフルート奏者のライブに出掛けた。と、先日そんなお話をしたばかりだが、フルートとピアノトリオの、素晴らしい演奏だった。

 

そんなわけで、今日のアルバム紹介はコチラ。

 

残念ながら、フルート奏者は可憐な女性ではなく、オッサン。しかしこの男、フルートだけでなく、サックスもスゴい。

 

そこに、ブルージーでファンキー寄りのピアニスト、ジュニア・マンス。

 

脂っこくなりすぎそうなところで、フルートの音色が効果的にバランスを取っている。イチバン美味くて、でも気づけばカロリーたっぷり。危険なヤツだ。

 

そう、美味しいモノは脂肪と糖でできている。

 

…うん、何でもない。

言ってみたかっただけ。

 

それはともかくとして、料理でもその手の誘惑が抗いがたいものであるのと同じように、このアルバムも最初から引き込まれていく。

 

日本でのライブ盤だ。

 

来日ライブ盤…ときどき観客のヘンな日本語が聴き取れたりしてゲンナリする、なんてこともあるが(演奏が始まるたびに曲名を確認するようにニホン語イングリッシュで呟く女性の声が入っているアルバム、なんてものもあった)、このアルバムにかんしてはそんな心配もない。どちらかといえば上品すぎるぐらい。適度なざわめきと高揚感が伝わってきていい雰囲気。そう、適度な「ガヤガヤ」こそがライブ盤の魅力だ。

 

 

実は今回、友人のライブに出向く数日前にこのアルバムを聴いていた。ピアノトリオ+フルート、そして来日ライブ…共通点が多いのだ。

 

とはいえ、そんなことを考えているのは私ひとりなんで、ライブの曲目が被ったりそれを意識したフレーズが飛び出したり、なんてことはない。

 

しかし逆に、双方の魅力がそれぞれに感じられて楽しかったのは確かだ。

 

ちょっと新しいライブの楽しみかたを見いだしてしまった気がする。

 

 

かなぶん(フルート奏者のあだ名)、ホントに良いライブだったぜッ!

 

 

 

再会

この前の土曜日、ふたりの旧友と再会した。

 

ふたりとも、つい先日までアメリカに暮らしていた。ひとりは完全帰国。ひとりは一時帰国だ。

 

ひとりは6歳年上で、しかし出逢った日から尊敬すべき呑み仲間となった男性。こちらが完全帰国。

 

ひとりはぐっと年下だが、以前、私の朗読イベントで協力いただいていたフルート奏者の女性。こちらが一時帰国だ。

 

 

で、彼女の一時帰国にともなうライブに、帰国したばかりの呑み友だちと遊びに行ってきたわけだ。

 

www.neighbor-live.jp

 

 

 

ふたりとも、それぞれに刺激を与えてくれる存在だ。ふたりを見ていると、世の中ちゃんと生きているヒトっているんだなぁと、いつも思う。

 

どうもね、自分が世捨て人のような感覚でいることが多いせいか、毎回スゴいなぁと素直に感心してしまう。ふたりとも、ほんとアグレッシブ。

 

彼はこの春で会社を辞めて北海道に渡るという。興味を持つ範囲を決めつつも、敢えて「細かな設定や展望は決めずに動いてみる」…そんな発想と積極性に、いつもながら「流石だなぁ」と…。

 

そしてもうひとり、彼女の方は、朗読イベントの時とは違う1面を見せていただいた。これまでにも2回ほどライブを拝見させてもらったが、今回ほど「スゴくなったなぁ」と思ったのは初めてだ。

 

「本場」という言葉は今の時代たいした意味を持たないと思っていたが、やはり「本場」でチカラをつけてきたという自信が感じられて、向こうでがんばって良かったね、と思わずにはいられなかった。

 

ふだん、あまりひとから刺激を受けることの少ない私にとって、ふたりとも大切な存在だと、改めて感じた夜であった。

 

 

 

…最近、私まじめな感じね。

 

いや、そんなこともないか。

 

あ、ひとつ心残りがあるとすれば、このライブ会場となったお店、フレンチビストロ的な感じだったが、おそらくそうとう料理が美味いお店とお見受けした。

 

が、今月のワタシ、お金ない…。

 

友人とふたり、サラミの盛り合わせ。

 

申し訳ない。今度、お金を拾ったらちゃんと食べに行きます!

 

 

ということで、はい、それではまた明日。

さくら撮影企画を終えて

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ホンキのさくら撮影企画より photo by takakita

 


さて、ここ2週間ほど、さまざまな場所でさくらを撮影してきた。

 

 

ここまでホンキでひとつの被写体に向き合ったこともなかったので、たいへん勉強になる企画だった。

 

 

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ホンキのさくら撮影企画より photo by takakita

 

それまで、「さくら」は撮られ尽くした素材だ、との認識があった。

正直、撮影を始める前は自分でそれを撮ることの意味を見いだしにくかった。

 

 

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ホンキのさくら撮影企画より photo by takakita

 

それでも個人的にさくらが好きで、しかしまだあまりホンキで撮影したことがなかったから、「まぁ1度ぐらいやってみようか」、なんて程度で始めたのが実際のところだ。

 

 

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ホンキのさくら撮影企画より photo by takakita

 

単発ではなく回数を重ねることで、バリエーションを意識することになった。
時間帯や場所だけでなく、構図や手法、何をどう撮るか…いまの自分が出来ること、出来ないことも明確になった。所有する機材の限界としてムズカシイものもあった。

天候やコンディション、タイミング…あらゆる要素によって左右された面もある。

 

本当に、色々なことが合わさって1枚の写真として完成する。そのことを改めて実感した。

 

 

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ホンキのさくら撮影企画より photo by takakita


加えて、やはり写真は自分の足で撮るものだと、改めて感じた。限られた時間の中、重い機材を抱えての移動はなかなかキツかったが、けっきょくそのタイミングでその場所にいることでしか、その1枚を撮ることは出来ない。撮られ尽くしたと思ったさくらは、しかしその瞬間にしか撮れないさくらでもあった。

 

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ホンキのさくら撮影企画より photo by takakita

 

 

…と、スゲー真面目に書いちまったが、本当に勉強になったのだよ。

 

 

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ホンキのさくら撮影企画より photo by takakita

 

 

あと、ほかの記事でも書いたが、私の奥さまがクラシックに取り組むことにも、以前よりも遥かに共感できるようになったと思う。

「弾かれ尽くした音楽」と「撮られ尽くした被写体」。

それに取り組むことの意味と魅力…自分でやってみたことで体感できた。

 

個人的には、これがイチバン嬉しかったことかな。

 

 

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ホンキのさくら撮影企画より photo by takakita

 

 

うん、実に収穫の多い企画であった。

 


また何か新しい企画を考える際にも、今回の経験は役に立つだろう。満足である。

 

そしてこの短い期間ではあったが、日に日に見に来てくださるかたも増えて、それが原動力のひとつとなったことも確かだ。

 

改めて、ありがとうございました。

 

 

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ホンキのさくら撮影企画より photo by takakita

 

 

 

 

 

スターツおおたかの森ホール

実はおとといの日曜日の午後、千葉県にある流山おおたかの森にて、奥さまがピアノを弾いていた。

スターツおおたかの森ホール」という、つい最近になって出来たばかりのホールだ。

500人ほどが収容できるらしいが、とてもシンプルでセンスのいいホールだった。

 

otakanomorihall.com

 

 

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スターツおおたかの森ホール photo by takakita

 

今回はコンサートとしてではなく発表会に参加する、というカタチではあったが、やっぱり奥さま、スゴイのねホント。ベートーヴェンの「熱情」、めっちゃ弾いてた。

 

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スターツおおたかの森ホール photo by takakita

 

それにしてもこのホール、とても音がいい。あまり反響せず、楽器の音そのものがスッーと広がってくる感じ。私はわりと後方の座席にいたのだが、素直に音が伝わってきて、聴いていて疲れることがなかった。

 

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スターツおおたかの森ホール photo by takakita

私にとってクラシックというジャンルは、奥さまと一緒になってから聴くようになった音楽だ。それまではまるで馴染みがなかった。今ではもうだいぶ楽しめるようになったが、それでも心のどこかで、「誰もがやっている曲を再現する」ことの意味を、うまく理解することができずにいた。

 

しかしこの半月ほど、私は「誰もが撮影をしているさくら」を撮り続けてきた。

当初は「撮られ尽くしたモノ」としてあまりホンキで向き合うことのなかった被写体だったが、イザ撮り始めて思ったことがある。

 

どんなに同じ被写体だったとしても、やはり「自分が撮るならこう」と思う絵が頭の中にある。そしてそれを撮影することで新たな発見がある。そしてまた、新たな表現で撮影してみたいという欲求が生まれる。

 

どうだろう? 

とても似ていると思わないだろうか?

 

思いがけないことではあったが、さくらを撮影したことで、奥さまがクラシックという音楽を弾き続けていることの意味みたいなものを、なんとなくではあるが理解することができた。

 

それだけでも、今年のさくら撮影企画は収穫のある取り組みだったのではないだろうか。

 

 

 

ところで、久しぶりにおおたかの森に下りたが、街もずいぶんとキレイになっていた。

私が個人的にキンチョーしてしまうようなお洒落なカフェもあった。

つくばエクスプレスが開通し、「流山おおたかの森」として新しい街が出来て数年、当初の勢いは衰えそろそろヤバイかね、なんて思っていたのだが、ここにきてまた勢いを取り戻しているようだ。

いつも都心への乗り継ぎ駅としての利用しかなかったのだが、もう少しこの場所で楽しんでみるのもアリかもしれない。

 

 

アルバムを通して聴くということ。

 

 

Elegiac Cycle

Elegiac Cycle

 

 

今の時代、アルバムを通して聴くことがどれだけ珍しいことか、ふと思うことがある。

 

ダウンロード全盛の現在、聴かれるのはキャッチーなメロディを持ったシングル曲ばかり。そしてそんな時代に作られたアルバムは、単なるシングル曲の見本市めいたものばかりだ。

 

別に懐古趣味を標榜しているわけじゃない。最新のヒットチャートを賑わすアルバムにも名盤、名曲は存在する。

 

ただ、本来アルバムとは1枚を通して聴くものであり、そもそもそうやって聴かれるために構成されたものだ。

 

例えば有名なヒット曲の入ったアルバムがあるとしよう。ミュージシャンは決してその前後の曲をどうでもいいものとは考えない。彼らからしてみれば、いわゆる「捨て曲」なんてものは存在しない。ヘタをしたらその前後にこそ、本当に聴いてもらいたい曲を持ってくることすらある。

 

もっとアルバムを通して聴くべきなのではないだろうか。そんなことを思ったわけだ。

 

前フリ、長い…。

 

 

で、そんなことを思ったら、ふとブラッド・メルドーのソロピアノによるこのアルバムを思い出した。

 

ブラッド・メルドー。まぁ、いわゆる天才だ。いいヒトでもないしワルいヒトでもない。ちょっと変人。しかしやっぱり天才。

 

 

曲と曲との切れ目もなく、ただひたすらに奏されるピアノ。暗い。でも、どっぷり浸ってしまう。すごく映像的で寒々しいのに、その空間の片隅に、ひっそりと温もりを感じさせる。真冬の明け方の部屋に、そっと朝陽が射し込む感じ。とても好き。そしてやっぱり、アルバムを通して聴くべき。

 

 

そろそろブラッド・メルドーの来日も近い。ソロでのライブチケットはすでに完売しているようだが、トリオの方はまだわずかだが残っているようだ。

 

スケジュールが合えば、行ってみたいと思う。

ピープル・タイム

先日、Facebookにて、とある友人が「こんな日はスタン・ゲッツとケニー・バロンのピープル・タイムだよねぇ」なんてことをつぶやいていて、「いったいどんな日なんだ?」とのことで、私もCDラックからアルバムを引っ張り出してみた。

 

ピープル・タイム

ピープル・タイム

 

ライブ盤。サックス奏者、スタン・ゲッツの生涯最高傑作にしてラストレコーディングアルバム。という触れ込みでよく語られるが、スタン・ゲッツはいつだって最高だせっ! とか言ってみる私。別に全アルバムを持っているわけではないが…。

 

まぁ、何はともあれ彼のサックスがスゴい。滑らかなフレージングはいつものことだが、そこに力強さが加わった感じ。

死の直前ということを殊更に強調する必要はないと思うが、それでもやはり、「最後の完全燃焼」を感じてしまう。

 

ライナーノーツには、共演したピアニスト、ケニー・バロンの手記が掲載されている。

癌の進行が最終段階へと入っていたゲッツはその夜、ひとつのソロを終えるたびに息を切らしていたという。あまりの衰弱に、ケニー・バロンにピアノソロを頼みもしたという。それでもそんな中、これほどの演奏を成し遂げてしまうあたり、やはり「天才」なのだろう。

 

 

First Song

First Song

  • provided courtesy of iTunes
Sofltly As In a Morning Sunrise

Sofltly As In a Morning Sunrise

  • provided courtesy of iTunes
Stablemates

Stablemates

  • provided courtesy of iTunes

 

いまや懐かしいCD2枚組のゴツいケース。久々に引っ張り出したこのアルバムは、それでも聴くたびに新鮮な感動がある。disc2の1曲目、first songの静かな凄みが、「本当にこの日が最後だったんだな」と思わせる。それぐらい、彼のサックスがしぼり出すフレーズには命が宿っているように思う。

 

そして、デュオで演奏させたらこのひとの右に出る者はいないとされる達人、ケニー・バロンのピアノも素晴らしい。

 

けっきょく最後まで友人のいう「こんな日」が「どんな日」だったのかは分からなかったが、大量のCDに紛れその存在を忘れかけていたこのアルバムを思い出させてくれたことに感謝したい。

 

 

 

 

 

フクモリ

 

pianona

pianona

 

まあ、相も変わらず古いアルバムだ。

以前、まったく彼に対する知識もないままに、直感的に「たぶんスゴいひと」と思ってアルバムを買って以来、年に1度、何かしらのアルバムを購入している。

 

カンチェラーレ / Cancellare

カンチェラーレ / Cancellare

 

 

中島ノブユキ。ピアニストであり作曲家であり、思った以上にスゴいひと。

最初に買ったアルバムは「カンチェラーレ」。完全なるジャケ買いだが、なんとも「売れなそう」な雰囲気を醸し出している(失礼)。

 

それでも気に入ってしまったのだ、私は。

 

きっかけはこの時期の恒例、ホワイトデーに奧さまへのプレゼントのひとつとして購入した。これが始まりだった。ここから毎年、1枚ずつプレゼントしている。

 

散りゆく花

散りゆく花

 
エテパルマ~夏の印象~

エテパルマ~夏の印象~

 
パッサカイユ

パッサカイユ

 

 

世に出された順番とかは気にしていない。その時々で気になったアルバムを購入している。昨年は久々のピアノソロということで最新版を購入したが、これがまた、特に地味で暗いアルバムだったりもした。

 

clair-obscur

clair-obscur

 

 

そう、このひとの曲は基本的に暗い。そのなかでも極めつけだった。

で、そんなこともあって今年はもう少し明るいであろうアルバムを。

 

pianona

pianona

 

ゲストが多数参加している。彼がいかにスゴい方か、ゲストの顔ぶれを見ると分かる。

石井マサユキ、北村聡鈴木正人田村玄一持田香織、森俊二…

 

そんなに友だち多くできそうな曲は書いてないように思うのだが(失礼)…。

 

とても繊細で、どこか孤独を感じさせるピアノだ。しかし、孤独を寂しいものとは感じていないような、穏やかさと充実を感じる。

 

不思議なピアノだ。

 

このアルバムを購入するまでに、何年もかかった。ずっとこのアルバムをライブ盤だと思っていたのだ。で、彼のピアノとライブという空間が、あまりイメージできなかった。

 

しかし違った。

 

このアルバムは、東神田にあるカフェ兼定食屋「フクモリ」の開店二周年を記念して作られたそうだ。中島氏は、ここで毎月ライブを行っているらしい。その過程で交流が生まれた面々とのコラボレーション、というのがこのアルバムだった。紛らわしい…。

 

カバー曲が多い。しかしアルバムを通して感じるのは、やはりこのアルバムが「中島ノブユキのアルバム」という印象。

そうとう暗いね、中島さん。

うん、キライじゃないよ。

 

けっきょくのところ、個人的に私が気に入っているのだ。プレゼントにかこつけて買っているが、毎年こうして買っているのは、この独特の暗さが好きだからに他ならない。

 

 

それにしても、開店二周年にしてこれだけの面子を集めた「フクモリ」というお店も気になる。すでに現在は10周年ぐらいになるだろうか。東神田ならそこまで遠くないし、そのうち遊びに行ってみたいと思う。

 

フクモリ 馬喰町店